備忘録

本の中の食べ物や日々の道具などについて書いたり消したり直したり

パフューム ある人殺しの物語

好きな映画でDVDを持っていたけれどディスクに傷がついてしまってからしばらく見ていなかった映画がAmazonプライムビデオで無料だったので視聴。

やっぱりとても面白い映画でした。

1737年のフランス・パリで産まれた少年ジャン=バティスト・グルヌイユが天与の才能によって数奇な運命をたどる物語。
彼が持っていた天与の才能はまるで万物を嗅ぎ分ける超能力的な嗅覚で、過酷な人生の中でその才能の片鱗を現していきます。


私はこのお話のとんでもなく運命的な部分がとても好きです。

まずは、ジャンはどんどん場所(自分の関係者)を変えて行くんだけどその過程で面白いのが「主人公から離れた登場人物は死ぬ」というシチュエーションの繰り返しの部分。
ジャンを魚の内臓と一緒に捨てようとしていた母は、ジャンが産声をあげたことによって死罪になって首を吊られる。
ジャンを預かって育てていた孤児院の管理者の女性は、ジャンを皮なめし職人に売った代金9フランを奪われて殺される。
ジャンを過酷な労働で使っていた皮なめし職人は、ジャンを調香師に売った金で酒を飲んで帰り道に河に溺れて死ぬ。
ジャンに香水のいろはを教えた調香師は、ジャンの旅立ちを送り出した夜に屋敷が崩れて死ぬ。


次に、とある赤毛の少女の香り、つまり生きた人間の体臭にもっとも心惹かれたジャン=バティストには彼自身の体臭がないこと。
彼にとってすべての存在=香りだとしたら、彼は自分自身の感覚では生きているのに存在していないも同然。

次に、香水のお話がどれもジャン=バティストをとある結末に導いているところ。
彼の師匠的存在の二人の調香師はこう言うのです。
最初の調香師は、「バラは最後まで生かしたまま、香りを奪う時に殺す」。
グラースでの女調香師は、「冷侵法は静かに花を殺す」。

そして最初の調香師の「エジプトのファラオと一緒に埋葬されていた楽園の香水の話」が、この物語の結末を指し示していたこと。
パフュームのラストは沢山のエキストラを使った「楽園」でそのとんでもなさとろくでもなさが最高ですよ。
ハッピーエンドでもないし、不道徳でもありますが、なんともいえない視聴感があって大好きです。


あとは、映像作品のなかで香りを現す手法も素晴らしいです。
ある時は音楽、イメージ映像、人の態度の変化。
圧巻なのは最後の「楽園」での顔芸でしょうか。人の表情が一番香りを想起させますよね。

舞台の薄汚れ具合も素晴らしくて、舞台の1737年のフランス、つまりフランス革命(1789年)の五十年ほど前の世界が楽しめました。

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

広告を非表示にする