2014-02-21 骨の多い小形の魚の煮凝(地球) 本の中の食べ物 魚 弥勒 (河出文庫)作者: 稲垣足穂出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1987/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 取りわけこの裏浜で獲れる比目魚と赤目張が好物だった。冬の午前、薄暗い台所の棚の上に、永年使い馴れた行手の中で、骨の多い小形の魚が煮凝になっているさまを想像すると、たれだってその冷たい、美味しいうおの身を一箸引き毟って口に入れたくなるのだった。 (河出文庫「弥勒」地球 p74) 稲垣足穂のちょっとした食べ物の描写は、なんだかとても綺麗に思える。ただの魚の煮物ですら、その冷たさが喉を伝っていくような感じがした。