備忘録

本の中の食べ物や日々の道具などについて書いたり消したり直したり

じゃがいものサラダのサンドイッチ(それからスープのことばかり考えて暮らした)

 タイトルに「スープ」とあるのにスープより先に出てきてしまうサンドイッチたちが魅力的だ。そのなかでも、最初のサンドイッチは素晴らしい。

 じゃがいものサラダ。
 が、口の中には、じゃがいものサラダより寸断まろやかな甘みがある。
 目は一応スクリーンを見ていたが、意識のほうはすべて舌にもっていかれ、そのまろやかさが何に似ているか、懸命に記憶を探って言い当てようとしてみた。
 でも、うまく言えない。とにかく、非常においしいもの。しいて言えばーー本当にしいて言えばーー本物の栗を練ってくつられたモンブラン・ケーキのクリーム。
 いや、あれほど甘くない、もっと歯応えがある。

(中公文庫「それからスープのことばかり考えて暮らした」p19)

 ポテトサラダサンドをこんな風に形容して魅力たっぷりに語っているのは初めて見た。
 ポテトサラダは私の中では脇役的な「まあ、こんなものかな?」といったポジションだったのだけど、これを読んでからは「じゃがいものサラダ」自体に気をつかったサンドイッチを作る事を心がけている。
 しかし、モンブランのクリームに似てるなんてどんな具合なんだろう?

オムレツ・サンド(それからはスープのことばかり考えて暮らした) - 備忘録