セスピアン(すぐそこの遠い場所)
この誘惑されるデザートが出てきたのは二つで一セットの本だった。
最初に私が手に取った本は、ちくま文庫「クラウド・コレクター」。語り手の祖父の残した数冊の古い手帖にまつわる物語だった。
- 作者: クラフト・エヴィング商會
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/04/08
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食したデザートは、不思議な緑色の果物を甘いシロップに浸したもので、信じがたい程に甘いのだが、所長はとっておきのひと皿と考えているようであった。大事そうに少しずつナイフで切って食べ、食べるたびに目を閉じ、甘味の中に何かを探っている。
(ちくま文庫「クラウド・コレクター」P220より)
これは、とある国への旅中での「最も上等な晩餐」のデザートだ。この謎のデザートの正体と詳細は、もうひとつの本でわかる。ちくま文庫「すぐそこの遠い場所」で綺麗な写真と共に描写されている。
- 作者: クラフト・エヴィング商會,坂本真典
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/04/08
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ちくま文庫「すぐそこの遠い場所」P72にこのデザートの写真と詳細がある。こちらの本についての引用は避けておいて、目印だけ残しておこう。
ちらりと頭の片隅にずっと残るような綺麗さだ。
ちくま文庫「クラウド・コレクター」は菫色の文字で印刷されている部分もある綺麗な文庫本で、「すぐそこの遠い場所」はカラー写真やイラストの豊富なとても凝った文庫本だ。小さくて面白い本をモノとして好きな人にとって、手元に置きたくなるタイプの本だろう。